コンテンツプロバイダが取り立てをやる時代

某大手コンテンツプロバイダーから電話がかかってきて
「おたくのコンテンツの未回収分、うちで買い取らせてもらえないか」というお話。

普段皆さんが払ってるケータイコンテンツのお金ですが、あれって踏み倒せるんです。

携帯電話代金を払わないでしばらくすると、携帯電話会社のほうから契約解除されます。
で、契約解除した後も、きっちり払うまで携帯電話会社からしつこく催促され、ブラックリストに載せられ、最終的には法的措置をとるぞ、と言われるのですが、その時に携帯電話会社が請求してくるのは通話料だけで、未払いのコンテンツ使用料があってもそれは請求されません。

どうなるかというと、携帯電話会社からコンテンツプロバイダーに、踏み倒した人の住所と名前と金額が送られてくるのです。「あとは自分でなんとかしてください」と。

でも、315円の占いサイトを半年滞留しても1,890円。内容証明一発出せば吹き飛ぶお金なので、ほとんど泣き寝入りになるわけです。

しかし、これが結構無視できない金額になっています。通常売上の3-5%ぐらい。多いところでは売り上げの10%ぐらいというところもあるようです。15億の売上あげてる会社で1億近い未回収が出てくると、ちょっと厳しいですよね。

で、回収したくなるんですが、何といっても少額が大量にあるので、回収するインセンティブが起こりません。なにしろメアドすらわからないのです。住所しかわからない時点で、1件あたり最低でも50円のコストがかかります。しかも、実際にやったことがある人に聞くと「住所宛に一斉に請求書を発送したら、翌日から電話が鳴りやまなかった。とても割にあわない、、、」と。

かかってくる電話の相手が、みんな例外なく、ものすごく怒ってるんです。なので誠実に対応しようとするととてもじゃないけど、割に合わない。そもそもなんでみんな怒ってるの?逆ギレじゃない?って?
いや、それがそうでもないんです。だって、請求書の書き出しはこんな感じですよ。


東京都△△区△△1−2−3 ■■ ■■殿
冠省
貴殿には当サイトの利用料金●●円をまだお支払い頂いておりません (以下略)

まるでっていうか、架空請求そのものな文面になるんですから。架空請求業者だと勘違いして電話をかけてくるわけです。ほんとは踏み倒された被害者なのに(T_T)

ところが、とあるコンテンツプロバイダー様が、営業利益よりも未回収の金額のほうが大きくなる、という事態になるに至り、本腰をいれて回収部隊を作り、回収し始めたところ、なかなか好調に回収が進み、プロの債権回収に頼むよりもいい感じで回収をできているそうです。

そこで、他のコンテンツプロバイダーからも債権を買い取り、回収を代行する事業に乗り出した模様です。
「踏み倒してるやつは他のサイトも踏み倒してる。どうせならまとめて回収してしまおう」っていうハラですね。とても合理的です。

ところが、債権を回収できるのは「本人」か「弁護士」または「サービサー」という会社に限られています。「サービサー」というのは債権管理回収業特措法に基づいて特殊な許可が必要とされており、「今日から俺はサービサーさ」というわけにはいきません。一介のコンテンツプロバイダができるような話ではありません。

そこで、その大手コンテンツプロバイダは、提携しているサービサーを「斡旋する」という話だそうです。

一度うちに説明に来てくれるそうです。いったいいくらで買い取ってくれるのか、「斡旋」がどんな感じなのか(ほんとは自分たちがやるんじゃないの?とか)、とても楽しみです。

やっぱり、ビジネスは「一歩一歩を、着実に。」やっていかないといけませんね。