モバイルASPが淘汰されない理由

twitter#shinuki(死ぬ気でモバイル)で、@ossam さんが「なぜ、40-50もあるモバイルアフィリエイトASPはダイナミックに淘汰されないのか?」という問題提起をしていた。まだ答えが出てないようなので、まとめてみる。流石に140字では無理だ。ちなみに、此処で言うASPはすべて「モバイル」限定です。

【問題】なぜ、40-50もあるモバイルアフィリエイトASPはダイナミックに淘汰されないのか?

【解題】アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)は広告のマーケットプレイス。広告クライアントも広告メディアも多ければ多いほどいい。すなわちスケールメリットの有るビジネス。なのに、なぜか細分化していて40-50とか乱立している上に、サービスを合併した、とかの話もあまり。なぜ、規模を求めるはずのマーケットプレイス機能が乱立してるんだろうか。

理由 1 そもそもの始まりがインハウスだから

ASPとは、言ってみれば「広告の自動販売機」。ある程度の規模を持つメディアにとっては、複数のクライアントの注文を効率的にWEBでさばけた方がいいに決まっている。なので、そういうシステムを作った。複数のページの広告を管理する機能を拡張して、複数のメディアを管理できる機能もつけたので、ついでに他のメディアの広告も扱うことにした。という成り立ちのサービスプロバイダーにとっては、自社メディアさえ売れればいいので、売却したり、他サービスを吸収するほどのインセンティブがない。広告クライアントにとっても同じ。複数のASPに出稿しても、その先で広告を貼ってくれるメディアが同じだったりする。だったら、自社でASP作って、そこに集約する方が楽でいい。代理店手数料分も利益になるし。そういうインハウス系は淘汰される理由が無い。


理由 2 実は分裂している方がメディアにとって有利だから

みんなが広告を貼りたいようなメディアならまだしも、審査で落ちてしまうようなメディアもある。そういうところは、大手だと扱ってもらえないので、小さなASPに扱ってもらうしかない。そういう場合に、分裂して競いあってくれてるほうがメディアに取って有利だったりする。同じ広告でもASPによって微妙に報酬が違うこともあり、そこの裁定取引も魅力。もちろん、力のあるメディアにとっては、「○○さんの方が代理店マージン薄いので一旦引き上げます」と言えるほうがいいよね。そのためには新興で「これから頑張ってメディア増やします!」というASPが増えたとして、メリットはあってもデメリットは無いよね。


理由 3 実は分裂している方がクライアントにとって有利だから

これも理由 2と同じく、天秤に掛けるところが多いほど、交渉がしやすい。結果、特に一緒になってくれなくてもいい。まあ、いっぺんにいろんなところに出すのが面倒だから、ワンタグみたいなのがあるわけだけど、ちゃんとしててイケてる広告主なら、ASPの先のメディアまできっちり厳選して出稿するのが当たり前で、実はほとんど個別交渉みたくなってる。そういうところにとっては、ASPがボコボコ生まれてくるのは悪い状況ではない。もちろん、減っても問題ない。純減しない理由は理由(6)へ


理由 4 シナジーが無い

例えば、広告メディアの6割、広告クライアントの8割がかぶっている二つのASPが合併しても、おそらくシナジーはない。営業力に若干のドライブがかかるぐらい?営業頑張るんだったら、合併するのじゃなく、横取りする方向で頑張るのがいいんじゃないかな。と、いうことでシナジーが無い。

理由 5 住み分けができてる

ASPが始まってもう結構な時間が経つので、強み、弱みがはっきりしてきている。審査のきついところ、ゆるいところ。マージンの高いところ、低いところ。営業力のあるところ、ないところ。みんなそれぞれに適度な収益ラインを守って運営してる限りにおいては、リスクを冒して急拡大の道を探らなくてもいいんじゃないか、という話。なれ合いですね。

理由 6 ビジネスの規模も運営コストも小さいから

吸収とか合併とか業務提携とかやるなら、有る一定以上のグロス金額を超えないと取引として成立しない。そもそもそのレベルに至ってないASPが多すぎて、そういう話にならない。運営コストも極限まで下げれば、担当者の人件費1人分、とかで済むのでわざわざ辞める理由もない。つまり、少々傾いたところで売却or撤退の判断を迫られるところまでいかない。なので減らない。逆に、それなりのビジネス規模になってきたら、大合併とかはありえるかもしれないけど、いまのところ、ASPの大きいところは本業がしっかりあるところだから、それもないよね。

しかし、事業を取り巻く環境は大きく変わってきてます。特に、アダルト系の課金として使われていたものは、今後排除されるでしょう。というか、排除されて欲しい。でも、正直、いまのクライアントをすべて失ってでもなんか新しいことしたほうがいいんじゃないかなあ。この業界は。